ヴォーカル兼コンポーザーの河井英里を中心とするユニットのデビュー作。サイモン&ガーファンクルのカヴァーなども収録。透明感のある澄んだ歌声に、ヨーロッパ的なサウンドが心地よい。 今やすっかり音楽のいちジャンルとして定着した感のある“癒し系”という言葉。その語感から受ける印象はそれこそ千差万別だと思うのだが、そんな概念が、肝心の音楽をないがしろに一人歩きしている昨今の状況は、非常に危険であると個人的には思う。ここに紹介するエリは、そうした安易なジャンル分けでは収まりきれない才能を感じさせる音楽性を持ったユニット。元安全地帯の武沢豊との共同作業によるサウンドは、打ち込みをベースにしながらも歌と言葉の響きにどこまでもこだわっている。偏見なしに聴いてほしい。 (黒田隆憲) --- 2001年05月号